全日本鹿協会 Japan Deer Society

鹿ニュース(2019年1月10日~25日)

【利用】伊豆のシカ肉、ペット餌に加工 捕獲の有害獣を活用/静岡

 伊豆市の市営食肉加工施設「イズシカ問屋」で8年間現場責任者を務めた高山弘次さん(46)が、有害鳥獣として捕獲されたシカを有効活用するため独立し、同市吉奈にペットフード用の加工施設「DERR BASE IZU しかまる」を開業。イズシカ問屋では30kg以下の小さな個体や1日の規定数を超える個体は受け入れられず、休日もあるため、捕獲者が自家消費できない個体は埋めるなどして処分している。そのため、処分対象の個体の受け皿となる施設の開業を決めた。年間を通じて需要のあるペットフードに着目し、電解水や金属探知機を使うなど処理設備を整え、2018年9月に施設をオープン。商品は生肉とジャーキーで10種以上を用意しており、これまでに毎日1~5頭のシカを受け入れ加工処理している。SNSで愛犬家に評判が広まり、在庫は空と順調に進んでいる。年間400頭の処理を目標として、処分される個体が少しでも減るように受け入れを増やしたいと今後の展望を語った。

(2019.1.10 静岡新聞 より)

 

 

【被害】倒壊ブナ「根返り」森林ピンチ 台風とシカ害ダブル/京都

 京都府南丹市美山町の京都大芦生研究林と滋賀県高島市朽木の府県境の尾根周辺では、一昨年からの度重なる台風被害によりブナが倒れ、根元部分が土ごとむき出しになった「根返り」が多数起こっている。シカの食害で下層植物が衰退しているため、土壌流出の懸念も高まっている。倒木は標高の高い尾根筋に多く見られ、幹回りが1m以上もあるブナが何本も倒れて登山道を遮っている個所もある。研究林で調査を続ける福本繁さん(65)が確認しただけでも、2017年以降の台風で16本のブナが倒れていた。近年、一帯では積雪が減り、ネットのような役割を果たすササをシカが採食するため、根の浅いブナが倒れやすくなったのではないかと、福本さんは推測する。暖冬が予想される今冬は、雪で守られていた植物も食べられる可能性があると、食害の影響を懸念している。

(2019.1.11 京都新聞 より)

 

 

【被害】シカ禁猟、影響懸念 国有林と道有林で15日から 農業被害拡大、食肉供給減る?/北海道

 昨年11月に恵庭市の国有林で起きた猟銃の誤射による死亡事故を受け、15日から有害駆除を除く一般狩猟者の入林が、道内全ての国有林と道有林で禁止される(土日祝日は除く)。関係機関によると、繁殖力が非常に強いエゾシカは、捕獲数が前年を数%下回るだけで数千頭増える恐れもあるとして、年間約50億円まで減った農業被害が再び拡大することが懸念されている。ジビエの供給量にも影響を与えるため、農家や飲食店などからは捕獲水準を維持することを求める声が上がっている。道環境局によると、2017年度は「有害駆除」で約8万8千頭、「狩猟」で約4万頭を捕獲している。このうち、今回の規制の対象となる国有林と道有林での狩猟が1万3千頭を占めている。釧路市や根室市では農業被害が年間1億円を超えており、特に被害が深刻な道東では捕獲数全体の約3割を狩猟に頼っているため、規制の影響が懸念されている。

(2019.1.11 北海道新聞 より)

 

 

【対策】丹沢のシカ減少傾向 植生も回復の兆し 神奈川県推計

 神奈川県の推計によると、食害をもたらしているニホンジカが減少傾向にあることが分かった。県は中高標高域での管理は順調にいっているとみているが、麓周辺での捕獲数は減っておらず、箱根町と小田原・南足柄両市にまたがる箱根山地での生息数が増加傾向であることもあり、評価を慎重に進めている。2017年~21年度の第4次県ニホンジカ管理計画によると、8市町村の保護管理区域で個体数推計の近年のピークは2006年度あり、中央値は7,500頭(5千頭~1万3千頭)ほど。これに対し2014年度の中央値は4,300頭(1,800頭~1万1千頭)前後まで減少。昨年12月に開かれた丹沢大山自然再生活動の2018年度報告会で、「管理捕獲初期は、1回の巻き狩りで20頭近く獲れたこともあったが、同じ場所で管理捕獲を続けてきたところ最近では1頭も獲れない日もあるため、全体ではシカが少なくなっているようだ」と、県猟友会の役員が話した。また、食害から守るため県が設置を進めている「植生保護柵」(高さ1.8m、30~50m四方)が効果を上げているが、県自然環境保全センター研究連携課の田村淳主任研究員は柵の外でも植生が回復していると指摘した。

(2019.1.12 神奈川新聞 より)

 

 

【利用】ジビエ「激推イノシカバーガー」初売り、道の駅みなので皆野高生ら 新春の縁起物、末広がりで88個限定/埼玉

 12日に埼玉県皆野町の道の駅みなので新春イベントが行われ、県立皆野高校の生徒らが開発した「劇推イノシカバーガー」を500円/個で販売した。今年の干支であるイノシシとシカの肉を使ったハンバーガーは、縁起物として末広がりで88個限定販売。3年生の3人の生徒が接客対応し、販売を行った。

(2019.1.13 埼玉新聞 より)

 

 

【利用】ジビエ利用量 エゾシカで北海道突出、兵庫・鳥取続く

 近年、野生鳥獣の肉を「ジビエ」として利活用する動きが広がっている。農林水産省の2017年度の野生鳥獣資源利用実態調査によると、全国の処理施設の販売量は食肉向けが1,146トン、ペットフード向けが373トンで、合計1,519トンとなり前年度と比較して30%増加した。都道府県別の食肉向けの利用量は北海道が503トンで最も多く、次いで兵庫県90トン、鳥取県61トンとなった。

(2019.1.14 日本経済新聞 より)

 

 

【利用】肉ブームで注目は「鹿肉」オススメの食べ方は?

 料理研究家の山中裕美さんは、ここ数年の肉ブームの理由は、肉の部位がより細かく分類されメニューが増えたことも大きいが、近年のイカやイワシなどの大衆魚の漁獲高が減少し、価格が高騰していることも一つの要因であるという。自然環境の影響を受けやすく価格が安定しない魚に対し、肉は市場価格が大きく上下することなく安定的に供給される点が、消費者が肉志向に移行している要因でもある。肉ブームの中でも今年の注目は「鹿肉」である。環境省はニホンジカとイノシシの個体数を2023年までに半減するという目標を掲げており、シカの解体施設を新たに造る自治体も増えている。この動きも鹿肉ブームを後押ししている。「シカ肉はクセがなくいろいろな料理に合う。また高たんぱく、低脂肪で糖質を制限している人にもオススメである」と山中さんは話した。

(2019.1.14 日刊ゲンダイDIGITAL より)

 

 

【利用】高知でジビエフェア 県庁食堂では「鹿ダブル丼」

 15日に高知県で「よさこいジビエフェア」が開始。シカやイノシシなどのジビエ料理のおいしさをアピールし、消費拡大を図る目的で始まり、今回で6回目の開催。昨年より9店増加し、49店舗が参加。3月14日まで開催されている。梼原町の3店舗や昨年秋に5日間限定で「鹿ダブル丼」を提供した県庁本庁舎の食堂が参加した。各店のメニューや価格を紹介するパンフレットを2万5千部作成し、ジビエの基礎知識や栄養素、県内でのジビエ普及の取り組みも紹介した。

(2019.1.16 日本経済新聞 より)

 

 

【対策】ぶつからないクルマもさらに進化する!? 鹿を撃退する鹿ソニックとは!?/千葉

 千葉県幕張メッセで開催された東京オートサロン2019で、T.M.WORKSのブースに「鹿ソニック」という商品が出展された。シカと走行中のクルマが衝突するとバンパー破損や、ひどい場合は車両が全損するようなこともある。この製品は、クルマが走行中にシカが路上にいたり、飛び出してきたりする場合に、シカを避ける高周波音を発生するユニットとスピーカーが一体となったものである。この装置をクルマのフロントグリルなどに装着し、アクセサリー電源などに接続するだけで使用する。価格は1万9千円(税別)であり、同社の公式サイトで購入可能である。今回のオートサロンの会場に展示されていたものは、よりスピーカーを強化した「鹿ソニック・ハイパワータイプ」だった。衝突被害低減ブレーキ搭載の車両でもシカのスピードに対応できる場合は難しいため、これらのシカ避け商品の需要は高まっていくと考えられる。

(2019.1.20 carview! より)

 

 

【利用】ジビエのおいしさ知って 昭和学園高生が調理体験 シカ肉コロッケ、イノシシ肉のり巻き/大分

 18日、日田市日ノ出町の昭和学園高で、ジビエの料理教室があった。同校調理科3年生26人が、イノシシ肉とシカ肉を使った料理を作った。大分西部流域林業活性化センターと県西部振興局が、食の仕事に携わる可能性の高い生徒にジビエを体験してもらい将来の消費拡大につなげる狙いで、2013年度から開催している。当日は市内の料理研究家である原田京子さん(57)が考案したシカ肉の「和風コロッケ」やイノシシ肉の「焼肉のり巻き」などを、原田さんの指導を受けながら調理した。原田さんは、「ジビエはショウガやニンニク、ネギなどの香辛料を使って調理すればおいしくなる」と話す。参加した生徒の野口空乃加さん(18)は「いい経験ができた。色は少し濃いが、味は普通の肉と変わらないので、就職先の社員食堂でもジビエを提案してみたい」と話した。

(2019.1.22 西日本新聞 より)

 

 

【その他】新井薬師「スタジオ35分」で池田宏さん写真展アイヌ主題に、鹿肉イベントも/東京

 2月1日から中野区上高田5にある「スタジオ35分」で、池田宏さんの写真展「AINU-LANDSCAPE」が開始。池田さんは1981年生まれの佐賀県小城市出身。2006年に「studio FOBOS」に入社し、2009年よりフリーランスのカメラマンとして活動。約10年前から取材しているアイヌを題材とした作品集である「AINU」が出版されることを記念して、今回の写真展を開催した。写真展に合わせて、被写体となったアイヌのハンターが捕ったシカ肉の味を堪能する「鹿肉の会」(初日18時~、16日18時~)や、池田さんと関東に暮らす若いアイヌ人の岐津雄大さん、編集者の浅原裕久さんによる「自分にアイヌの血が入っていることを知ったときの思いと、その後の人生」というトークショー(9日17時~)も開催される。写真展の開催時間は18時~23時で、日曜~火曜は休み。2月16日まで開催している。トークイベントの申し込みは「スタジオ35分」のウェブサイトで確認できる。

(2019.1.23 中野経済新聞 より)

 

 

【利用】学食に鹿肉メニュー登場 文理大/徳島

 23日に徳島文理大学の短期大学部で栄養学などを学ぶ学生が考えた、鹿肉のミンチを使ったコロッケと鹿肉のプルコギをセットした特性メニューが大学の食堂で提供された。同大学では4年前から有害鳥獣として駆除されたシカの肉を有効活用するため、大学の食堂で提供している。学生たちによると、鹿肉を食べやすいように幅広い年代に人気のあるコロッケの具材として混ぜ、プルコギはニンニクやショウガなどを加えて臭みを消すよう工夫した。料理を食べた学生たちは「鹿肉は固いイメージがあったが、ジューシーだった」、「ジビエ料理を手軽に食べることができてうれしかった」などと話していた。レシピを考えた短期大学2年の東海若菜さんは「栄養士として就職したら、今後もシカ肉のおいしさを広めていきたい」と話した。

(2019.1.23 NHK NEWS WEB より)

 

 

【利用】甲州印伝に新ブランド、県内で捕獲のシカ活用/山梨

 甲州印伝は、山梨を代表する伝統工芸品で、シカの革に漆で模様付けしたものである。山梨県は兵庫県の企業と共同で、県内で捕獲したシカの革を活用するために新しい甲州印伝のブランドを立ち上げ、商品化に向けた説明会を開催した。新ブランドは特殊な技術でシカの皮を染めずになめした真っ白な甲州印伝。このブランドは漆と山梨、シカから「URUSHINASHIKA」(うるしなしか)と命名されている。23日の説明会では、甲州印伝の製造や販売に携わる組合に対する県の商品化について説明され、参加者は試作品のバッグを手に取り、革の感触を確かめた。県側は現在出願している商標が認められれば、今年5月頃から商品の販売が可能になるとのこと。県は今後、食肉加工業者や狩猟関係者も交えて、シカ革の確保についても協議するとしている。

(2019.1.23 Uワク UTY より)

 

 

【利用】シカ肉カレー食べ獣害学ぶ 宇佐市でジビエ給食/大分

 21、22日の両日に、大分県宇佐市の小中学校など33校でシカ肉を食材に使った「ジビエ給食」が出された。市が獣害被害などを知ってもらおうと初めて実施した。県内のジビエ肉加工業者や行政でつくる大分ジビエ振興協議会が、宇佐市内で捕獲したシカの肉、約70kgを提供し、ミンチやスライスにしたシカ肉を入れたカレーが出された。22日に封戸小学校で給食前に県北部振興局でジビエを担当する山田昭彦さんが、大分県がイノシシとシカの捕獲数が約7万頭と全国2位であることを紹介した。5年生の安長妃菜さん(11)は「臭くなくおいしかった。かわいそうだけど食害を減らすために食べるのは仕方ない」と話した。

(2019.1.23 朝日新聞 より)

 

 

【利用】板橋のギョーザ専門店で「ジビエギョーザ」販売へ 豊前産シカもも肉使う/東京

 現在、板橋区仲宿にあるギョーザ専門店「Mikiya Gyoza Stand」が、豊前ジビエを使った「シカもも肉のラグーギョーザ」(3個600円)を数量限定販売している。福岡県豊前市産・天然のシカもも肉を3日間煮込んでギョーザにしたものである。ミキヤ店主・三木教一さんが昨年参加した「豊前ジビエセンター」などの見学ツアーに参加し、ジビエメニューの商品化に取り組んだ。数量限定のため早ければ1月27日に販売終了となる可能性がある。豊前市大西にある「豊前ジビエセンター」は、農林業への獣害対策として市が開設し、2019年の本格稼働に向けて昨年10月から操業を開始したジビエ処理施設である。昨年12月4日に道の駅「豊前おこしかけ」や「うみてらす豊前」などの市内施設でジビエの販売を開始。市は特産品としてジビエのブランド化を進めている。三木さんは、当時閉店していた中華料理店「三木家」の味と店名を引き継いで2017月7月にオープン。それまでニューヨークで仕事をしていたこともあり、ゆくゆくはニューヨークとパリに店を開いて、ミキヤのギョーザを世界に紹介したいと話した。

(2019.1.25 板橋経済新聞 より)