全日本鹿協会 Japan Deer Society

鹿ニュース(2019年3月10日~3月25日)

【利用】駆除したシカを観光資源に 解体見学や肉料理堪能 篠山でフェス/兵庫

 9日に兵庫県篠山市西古佐の丹波並木道中央公園で、シカの解体見学やシカ肉料理を味わうイベントの「シカフェス」が開催された。今年で2回目の開催で、神戸山手大学の歴史文化ツーリズム研究会が企画した。同研究会は、同大現代社会学部観光学科の高根沢均准教授の指導のもと、篠山市の若手猟師とともにシカの活用方法を考えている。シカフェスには同研究会の学生8人と市内外の9人が参加。フェスでは若手猟師の新田哲也さん(34)がシカの生態や獣害について説明し、シカを活用できる方法を考えていきたいことをアピールした。その後、前日に捕獲した雄シカを新田さんが解体し、同大の学生が皮剥を体験した。解体後は、シカ肉を使ったつみれ汁と香草パン小粉焼きが振舞われ、角のネックレスやストラップを作る体験コーナーもあった。

(2019/3/10 神戸新聞NEXT より)

 

 

【利用】真庭「ジビエカー」4月から運用 市が導入、解体室や冷凍庫備える/岡山

 10日に真庭市内で、有害獣を速やかに解体、運搬しジビエとして活用する目的で導入した「ジビエカー」が披露された。採用は全国で2例目であり、4月から運用される。2tトラックがベースのジビエカーは、荷台に解体室や、シカやイノシシなどの枝肉を5頭分保管できる冷凍庫を備えているため、捕獲場所近くまで行きすぐ解体し、新鮮で高品質の肉を確保できる。購入費は約2,700万円。地域おこし協力隊員ら3人が地元猟友会と協力し、初めに久世地域で試験運用しながら対象エリアを広げていく予定。枝肉は美作市の食肉処理施設に買い取ってもらう。ジビエカーでの活動により、ジビエの需要の掘り起こしや捕獲者の運搬負担の減少を期待している。また、真庭市では、真庭高の生徒が開発するジビエ加工品の販路拡大やジビエを味わうツアーを支援しており、消費拡大や産業振興にも力を入れている。

(2019/3/11 山陽新聞 より)

 

 

【利用】シカ肉おいしく洋風に 小浜で飲食店主ら学ぶ/福井

 12日に小浜市食文化館で、シカ肉の特徴と調理の際の注意点を学ぶ料理教室が開かれた。2017年度までに嶺南地方でジビエ向けの加工処理施設が4カ所できたことを受け、嶺南地域有害鳥獣対策協議会と県が計画したもので、飲食店主や関心を持つ団体代表、行政の担当者に呼び掛けた。料理教室には20人が参加し、敦賀市御名でイタリア料理店を経営する江守謙裕さん(40)と、美浜町新庄で獣肉加工処理施設を運営しながら飲食店も営む中村俊彦さん(55)が、シチューやロール巻きなどの調理方法を指導した。県猟友会の小浜支部長の大椿明夫さん(60)は「我々が料理するのはすき焼き程度」と話し、新しい感覚で調理体験に取り組んでいた。

(2019/3/14 中日新聞 より)

 

 

【対策】白神のカメラでニホンジカ12頭確認/青森

 今年度に、鯵ケ沢町にある東北森林管理局津軽白神森林生態系保全センターにより設置された、世界自然遺産白神山地周辺地域の本県側全32地点のセンサーカメラの解析結果がまとまった。生態系への影響が懸念されているニホンジカは12頭確認された(前年度比3頭増)。全て雄で撮影時期が秋に集中していたことから、同センターは「白神周辺に定着はしていない」とみている。しかし、生息域拡大を懸念しているため、今春以降もカメラによる監視は継続する意向である。

(2019/3/14 陸奥億新報 より)

 

 

【対策】害獣おりにセンサー、メールで捕獲通知 猟友会の負担軽減/京都

 京都府与謝野町では、イノシシやシカなどの害獣がおりにかかったことを検知する機器を導入し、管理する猟友会員にメールで知らせる事業が開始された。現在、町内には約300基のおりがあり、そのうち町と町野生鳥獣被害対策協議会が所有する261基については、猟友会の会員38人が毎日巡回して管理している。今回はおりの扉が閉まったなどを検知する機器2種類を計20台購入。当面の間は20基のおりで運用する予定。情報は2017年度に町内全域に整備された無線通信技術のネットを利用し、会員にメールで送られるようになっている。同町の金屋で現場説明会があり、業者がおりに機器を取り付け、猟友会の役員に仕組みを教えた。この事業により、高齢化が進む猟友会の負担軽減を期待している。

(2019/3/14 京都新聞 より)

 

 

【利用】西米良村、害獣による被害が甚大な伝統野菜を害獣のジビエ肉と組み合わせブランド化/宮崎

 西米良村は、村内伝統文化の保護と伝承を目的とした「西米良村GBA(じいちゃんばあちゃんが守ってきたアグリカルチャー)プロジェクト」の一環として、害獣被害により滅びつつある伝統野菜を被害元であるシカやイノシシと組み合わせ、ブランド化する試みを本格的に開始する。今後、イベント販売やふるさと納税への登録、情報発信プラットホームの整理等を順次実施する予定。同村では、山を切り開いた焼き畑で伝統野菜の「糸巻大根」や「伊勢芋」の栽培を行ってきたが、近年の担い手減少や獣害により収量が激減、壊滅の危機に陥っている。そのため、同村役場は2018年3月にジビエ専用の食肉加工場を村内に完成させ、2019年度以降は伝統文化とジビエのブランド化を推進している。3月~5月末の土日は、同村内の西米良村温泉ゆた~とやおがわ作小屋村などで様々なイベントを開催する予定で、山間を覆う桜で日本の原風景を眺めながら、伝統野菜やジビエを使った食体験も予定している。

(2019/3/15 遊都総研 より)

 

 

【その他】狩猟に関心持って 南箕輪村で初フォーラム/長野

 17日に南箕輪村有害鳥獣対策協議会と村猟友会が、村の公民館で「狩猟フォーラム」を開催した。村内外から参加した約60人が、猟師らによるパネル討論や講演を聞いたり、シカやイノシシの肉を使った鍋料理などの猟師飯を味わったりした。同村内にあるシカ肉の処理加工施設「信州ジビエかとう」の代表で、狩猟歴35年の加藤尚さんが講演し、狩猟者の減少や高齢化などの現状を説明した。パネル討論では、村猟友会長で村有害鳥獣捕獲実施隊長の北條欣一さんら5人が登壇。獲物を仕留めた時のどきどきわくわく感や賢い野生動物との知恵比べなどが、狩猟の魅力であると話した。信州大学農学部生で狩猟歴3年の三上彩音さんが、ハンターになった動機を「販売していない色々な肉を食べてみたかった」と話すと、狩猟歴52年の師匠である兼子力さんが「銃の技術を覚え、仕留められるようになっている。本物だと感心している」と話した。上伊那農業高校の畜産班は、鹿肉ジャーキーと地場産牛肉のビーフジャーキーを紹介した。

(2019/3/18 長野日報 より)

 

 

【被害】唯一の「シカ空白県」茨城で目撃情報 流入元は栃木?

 茨城県内では大正時代を最後に絶滅したとされるニホンジカの目撃情報が相次いでいる。茨城県は日本国内では唯一のシカ非生息地域のため、対策のノウハウが乏しく、関係者の間では懸念されている。昨年11月下旬に、大子町の最北にある八溝山付近の国有林でニホンジカの雄が撮影された。県内の国有林を管轄する茨城森林管理署(水戸市)がセンサーカメラで撮影し、地域林政調整官の菊池毅は「予想していたが、やはり来ていたかと思った」と話した。最初に撮影に成功したのは、国立研究開発法人農研機構中央農業研究センターで、一昨年の11月に同じく八溝山山頂付近で2頭の雄シカを撮影。シカは80年代ごろから生息数が増加している栃木県や、隣接する福島県南部から来ている可能性が高いとされている。懸念されるのは、八溝山山頂付近の生態系の保全である。県自然公園の特別地域に指定されている山頂付近は県内では数少ない手つかずの広葉樹林がある。最初に撮影されたのはこの地域内であるため、同センターの竹内正彦鳥獣害グループ長は「対策を急がないと植生がすぐに変わってしまう」と訴えた。また、木材の収穫量が約30万㎥と全国1位であり、特産のリンゴ畑もあるため、シカの食害による経済的損失も懸念されている。

(2019/3/21 朝日新聞 より)

 

 

【被害】国道にシカの群れ 車5台が絡む事故 シカ2頭死ぬ/北海道

 21日の午後6時過ぎに、北海道小樽市銭函3丁目の国道5号で、海側から道路上に飛び出してきたシカ2頭に走行中の複数の車が衝突した。さらに後続車も追突するなどして、車5台が絡む事故があった。警察によると、この事故でけがをした人はいないが、一方でシカは群れの中で車と衝突した2頭が死亡した。当時現場は雨が降っていた。

(2019/3/21 HTB NEWS より)

 

 

【その他】シカ増えたら植物小型化 食べられぬよう「生き残り策」

 山形大学理学部などの研究グループが、ニホンジカが増加している地域で一部の植物が小型化していることを明らかにした。研究グループは2016年から、ニホンジカが多く生息する宮城県牡鹿半島でオオバコやタチツボスミレを採取し、仙台市内などのシカの影響がほとんどない地域と大きさを比較して研究。オオバコは通常約30㎝のものが、牡鹿半島では数センチ程度で、茎が15~20cmほど伸びるタチツボスミレも数センチまでしか育っていなかった。採取したものを山形市の山形大小白川キャンパスで育ててもそれ以上大きくならなかったため、遺伝的な変化があった可能性が高いと推測している。ニホンジカが増え始めた2000年頃から変化が起きたとみられており、同学部の横山潤教授(多様性生物学)は「小さく、食べられにくいものが多く残ることによって変化が生じていると考えられる。シカの生息が拡大し始めている山形県内でも起きる可能性は十分ある」と話した。

(2019/3/22 朝日新聞 より)

 

 

【その他】ニホンジカの捕獲、間近で 松本で狩猟体験ツアー/長野

 21日に松本市で、松塩筑猟友会里山辺支部の若手有志らでつくる実行委員会が、狩猟体験ツアーを初めて開催。有害鳥獣駆除に県内外の18人が同行し、わなで捕獲したニホンジカを仕留めたり、市内の施設で解体処理したりする様子を見学した。最後にはジビエ料理を味わい、山の恵みについて理解を深めた。支部の猟友会員で、飲食店を経営している砂子慎哉さん(43)らが事前にわなを仕掛けた市内の山林を案内し、くくりわなで捕獲されていた雄シカの首元にナイフを刺して仕留め、「最後に痙攣して命が尽きる」と説明。この日は雄のニホンジカ2頭を捕獲し、市内の飲食店「くりや」でジビエ料理を食べた。松本市城東の会社役員の田辺修さん(57)は、「命の最後を目の当たりにして切ない気持ちになったが、見ることができて良かった」と話した。

(2019/3/22 信毎web より)

 

 

【利用】シカ肉ビビンバ、全国Vの味 高山市の道の駅で提供/岐阜

 日本ジビエ振興協会主催のコンテストで農林水産大臣賞を受賞したレシピを基に作った「シカ肉のビビンバ」の提供を、岐阜県高山市清見町牧ケ洞の道の駅「ななもり清見」のレストランが開始。レシピは肥大猟友会清見支部の猟師である上屋薫里さん(35)が考案したもの。料理には、清見で捕れ、地元の解体処理施設である「飛騨ジビエ清見」で処理されたシカ肉を使う。ご飯の上にシカ肉のそぼろとニンジン、もやし、温泉卵などがのり、スープ付きで税込み1,500円。道の駅を運営する七杜の滝上耕平社長(74)は、「シカ肉は硬くなくおいしく仕上がっているので一度食べてみて」と話した。

(2019/3/23 岐阜新聞 より)