全日本鹿協会 Japan Deer Society

鹿について

概要

日本には、在来種であるニホンジカの亜種が7種います。北海道のエゾジカ、本州のホンシュウジカ、四国・九州にいるキュウシュウジカの他、島しょ部にツシマジカ(対馬、長崎県)、マゲジカ(馬毛島、鹿児島県)、ヤクシカ(屋久島、鹿児島県)およびケラマジカ(慶良間諸島、沖縄県)です。
その他に、千葉県に外来種であるキョンが、和歌山県友ガ島にはニホンジカの亜種であるタイワンジカが、再野生化しています。

鹿被害と対策

鹿による被害:シカによる被害は農産物や森林被害が大きく、農産物被害だけでも年間200億円程度で推移しています。
また、シカと車や電車などとの衝突による交通事故が増加しており、人身事故も大きな問題になっています。
さらに、森林の下層植生をシカが食べつくすため、集中豪雨の発生による山林崩壊が都市災害につながる恐れも大きくなっています。


シカ被害対策:被害対策として、「個体調整」、「被害防除」、「利活用」、「生息環境管理」の4つを中心に全国で行われています。このうち、もっと行われているのが柵などで囲う「被害防除」です。中には集落全体を作で囲ったり、住居を囲ったりしている地域も中山間地域を中心に見られます。また、柵は動物によって効果が異なるので、鹿だけではなく猪やサル被害に悩む地域では3種類の柵を張っているところもあります。

また、「生息環境管理」は、野生鳥獣の集落への出没を防ぐ目的で、畑の野菜くずや柿など果実の撤去などを行うなど、集落に餌を残さない取り組みです。

「個体調整」は鹿を殺処分することで、個体数を減らす取り組みで、冬季の狩猟期以外に、夏季も含めた有害鳥獣駆除を国や地方自治体の助成を受けて行うことです。
現在年間40万頭以上が個体調整されていますが、環境省の推計によると、平成25年の304万頭(北海道を除く)から10年後には450万頭に増加すると見られています。

 「利活用」は、無為に殺されている鹿を資源として活用しようとする取り組みで、肉の他、皮、鹿茸、堅角、骨などの利用があります。また、協会では「生きたシカの活用」として鹿エコツアーを開催しています。

鹿産物(肉、皮、鹿茸、角、骨、ツアー)

鹿肉:

肉は高タンパク、低脂肪で鉄分に富み、西欧ではベニスン(venison)と呼ばれる高級肉です。脂肪には、オレイン酸などのオメガ3系列の不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。
鹿肉はなじみがないように思われますが、古代日本では鹿肉を猪肉とともに常食していたと言われます。肉のことを「シシ」と呼んでおり、それはイノシシ、カノシシ(鹿肉)のことと言われています。

鹿皮:

皮は柔らかく、しかも強いという特性を持っています。鹿皮革は、セーム皮として車やメガネ拭きとしてなじみがありますが、カバンや靴、手袋などにも広く使われています。伝統的な革製品である甲州印伝は鹿の皮が使われています。残念ながら、現在は中国のキョンの皮が使われています。

 

鹿茸:

幼角のことで、漢方薬の強壮剤としての需要が高く、中国ではもっぱら鹿茸採取のための養鹿が行われ、産業として確立しています。日本では薬事法の関係で鹿茸としての販売が難しく、1か所のみで生産が行われています。

 

角:

鹿角の写真

頭のついたオスの角は、「トロフィー」と呼ばれ、欧米を中心にハンターの一番の「獲物」です。堅角も漢方として使われるほか、ペットフードとしても人気があります。

 

骨:

ペットフードとしての利用などがあります。

ツアー:

エコツアーの写真

協会では、親子を対象に環境教育の一環として、鹿のエコツアーを毎年行っています。内容は鹿被害の見学や森歩き、夜の鹿探索などです。

 

養鹿について

家畜として鹿を飼うことは、北極圏でのトナカイの遊牧が古くから行われています。また中国では鹿茸を取る目的で鹿を利用してきましたが、1950年代からは国営養鹿牧場が各地に作られました(日本鹿研究6号中国特集参照)。一方、欧州では鹿肉(ベニソン)を利用してきましたが、養鹿が産業として確立したのは1970年代のニュージーランドです(日本鹿研究7号ニュージーランド特集参照)。ニュージーランドは欧州を中心に鹿肉を輸出しています。一方、欧州でも各国で鹿牧場が展開されるようになっています。日本では、1970年代に北海道の鹿追町で鹿牧場が作られ、80年代後半から90年代にかけて鹿牧場の開設が相次ぎ、94年には90か所、5,900頭にまで増えました。1987年には国が特用家畜として認定しています。しかし、多くの牧場は経営的に行き詰まり、牛のBSE(牛海綿状脳症)の影響もあり、現在では商業的な養鹿場はほとんど見られなくなっています。野生鹿を生体捕獲し、一時的に飼いなおす「一時養鹿」が北海道で行われており、注目されています。

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